家族4人、六大陸へ ― 子どもたちに手渡したいもの
🧭 これは 2026年7月 の6大陸大冒険を旅した記録です。同じ旅の記事を見る →
はじまりは、ふたりの一人旅
私たち夫婦は、結婚するずっと前から、それぞれ一人で世界を旅していました。
ふたりが出会った場所はモスクワ。……そのくらい、旅が好きなふたりでした。
一人の旅は、気ままで楽しかった。そして結婚してからは、ふたりで旅するようになり共有する喜びがありました。10年ほど、1年に3、4回は海外へ。ふたりの旅は、一人の旅と同じくらい、いや、それ以上に楽しかった。
3人になって、4人になった
そこに、サクが生まれ、ハルが生まれました。家族は3人になり、4人になった。
私たちは話し合った。
子どもたちがついてきてくれる限り、4人で、めちゃくちゃ旅、楽しもう。
そして旅を重ねてきたからこそ、もうひとつの思いも生まれました。世界にはいろんなことがいっぱい溢れているということ。人のやさしさ。うまくいかない日の乗り越えかた。旅が私たちに教えてくれたことを、今度は子どもたちに伝えていきたい。
台湾で、たしかめた
とはいえ、いきなり大きな旅には出ません。その前に、確かめてみようと思いました。
「子連れの旅を、私たちは本当に楽しめるのか?」
その舞台が、台湾でした。生後半年のハルを連れての、はじめての家族海外。
結論。無茶苦茶、楽しかった。
だから、決めました。私たちは家族で、世界を旅する。六つの大陸を、ひとつずつ。それが「六大陸大冒険」です。 → 序章・台湾の旅を見る
そして2025年の夏、最初の大陸・ヨーロッパへ。22日間・5カ国を、暮らすように旅しました。 → 第1章・ヨーロッパの旅を見る
大陸ごとに、伝えたいことがある
この冒険のいちばんの設計は、ここにあります。
それぞれの大陸には、その地でしか味わえない「特色」がある。それを、いちばん深く感じられる年頃の子どもたちに、ひとつずつ手渡していく。
アジアは、人。市場の熱気、屋台の湯気、ぐいぐい話しかけてくる陽気な人たち。人と交わりながら進んでいく旅のなかで、名前も知らない人の親切に触れて、「人って最高!」って思ってもらいたい。
ヨーロッパは、芸術。美術館はもちろんのこと、街を歩くだけで、そこには深い歴史と芸術があふれていて、感動の連続でした。
オセアニアは、自然。アフリカは、動物。南米は、古代。どの大陸も、そこでしか出会えないものが主役です。
そしてもうひとつ。子どもの心が育つのに合わせて、テーマも少しずつ深くしていきます。3歳の子に古代文明はまだ早い。でも10歳になれば、人類の長い時間を受けとめられる。逆に、いちばん心がやわらかい時期にしか感じられないものもある。
下に行くほど、子どもは大きくなり、テーマは深くなります。
美術館だけじゃない。街を歩くだけで、歴史と芸術があふれてくる。「きれい」と感じる心の、いちばん最初のページ。
「風に立って、まだ小さかった」
頭で理解する前に、風・冷たさ・大きさを身体で浴びる。世界はこんなに大きい、と皮膚で知る章。
市場の熱気、屋台の湯気、知らない人の親切。人と交わって進む旅のなかで、「人って最高!」と心から思う章。
「祈りは、砂よりも静かだった」
一日に五度、街の時間が静かに止まる国で。にぎやかさの外にある「静けさの豊かさ」を、心がやわらかいうちに。
図鑑の向こうにいた命が、目の前で息をしている。恐れと憧れと、命がとなりにある感覚。世界がいちばん大きく広がる章。
「ここから先は、遠すぎる」
人の暮らしが途切れ、自然だけが残る場所へ。ここから先へは簡単には行けない。その距離を、家族の身体で確かめる章。
「世界から、音が消えた日」
道も、人も、音も消えていく場所。自分がこんなに小さい、と静かに知る。世界の広さを知りはじめた年頃に。
マチュピチュ、ウユニ。古い文明の痕跡と、今を生きる人々の熱。人類の長い時間のなかを、家族で歩く章。
この数々の大陸、人々が重なりこそが、私たちがいちばん大切にしている設計です。
ひと目でわかる、年齢とテーマの地図
同じことを、表にするとこうなります。
| 章 | 大陸・地域 | 子どもに伝えたいこと | そのときの年齢 上の子 / 下の子 |
|---|---|---|---|
| 1 | ヨーロッパ | 芸術・歴史の痕跡 | 3 / 1 |
| 2 | ニュージーランド | 自然・身体で感じる世界 | 5 / 3 |
| 3 | タイ・ラオス・ベトナム | 人のエネルギー・活力 | 6〜7 / 4〜5 |
| 4 | オマーン | 沈黙・祈り・余白 | 7〜8 / 5〜6 |
| 5 | タンザニア・エチオピア | 動物・命 | 8〜9 / 6〜7 |
| 6 | アラスカ・カナダ | 境界・距離 | 9〜10 / 7〜8 ※調整中 |
| 7 | 極圏(アイスランド等) | 無音・存在の希薄さ | 9〜11 / 7〜9 |
| 8 | ペルー・ボリビア | 古代・文明の痕跡 | 10〜11 / 8〜9 |
よくきかれること
この計画を話すと、よくこんなことを聞かれます。正直に答えます。
小さいうちに行っても、どうせ覚えてないんじゃない?
覚えていなくても、いいんです。「パリに行った」という記憶より、そこで何を感じたかのほうが、ずっと身体に残る。やわらかい時期に浴びた光や音や匂いは、記憶の手前で、その子の芯になっていくと思っています。
そんなにたくさん海外に行って、お金持ちなの?
いいえ、ごく普通の家庭です。ただ、お金のかけ方は、人よりずいぶん考えていると思います。
私はファイナンシャルプランナーの資格を持っていて、節約・節税から資産形成・資産運用まで、お金まわりをひととおり学んできました。その知識を、そのまま家族の旅に使っています。
いちばん効くのは航空券です。ここは工夫しだいで金額が大きく変わるので、マイルの貯め方と使い方は徹底的に調べました。国内旅行は、ほとんどマイルで飛んでいます。
そして旅そのものも、豪華なことはしていません。スーパーで買って部屋で食べる日もあれば、公園で半日過ごす日もある。お金をかけなくても、家族なら十分に楽しい。
ぜんぶ、ほんとうに行けるの?
正直、全部行けるかは分かりません。お金の問題はでかいし、時間の問題もある。そもそも子供たちがついてきてくれるかもわからない。これは“羅針盤”です。時期も、順番も、行き先も、これから何度も変わる。六大陸大冒険やめて全く違ったことを始めるかもしれない。それでも、向かいたい方角だけは、はっきり決まっています。私たちが子供たちに贈れることを必ず贈りたい。
この地図が、色づいていくのを
一人の旅は、楽しかった。ふたりの旅は、もっと楽しかった。だから4人の旅は、きっと、もっともっと楽しい。
うまくいかない日も、予定が崩れる日も、きっとある。それでも、子どもの成長に寄りそって、ひとつずつ章を書き足していく。「きれいだね」からはじまった旅が、人類の長い時間を歩く旅にたどりつくころ、子どもたちの心には何が残っているだろう。その答えは、まだ誰も知りません。だからこそ、私たちは出かけます。
この地図が少しずつ色づいていくのを、楽しみながら育てて行きたい。